千里市民フォーラム › まちづくり市民フォーラム 「第9回千里ニュータウンまちづくり市民フォーラム」レポート
2011年02月28日
「第9回千里ニュータウンまちづくり市民フォーラム」レポート
2月26日に行われました「まちづくり市民フォーラム」での
講演内容とパネルディスカッションの概要をお伝えします。
●基調講演「子どもが病気になった時、働く親はどうする?」
高 亜希(こう・あき)さん(NPO法人ノーベル代表理事)
高さんは大学卒業後、一般企業でつとめながら、働きつつ子育てしている先輩の大変さを痛感。
子どもが熱を出すのは当たり前、子どもは熱を出しながら大きくなるものなのに、病気になった子どもを預かってくれる保育所がないという現実を目撃。子どもの熱で申し訳なさそうに早退する同僚や先輩を見て、「子どもを生んでも当たり前にはたらき続けられる社会」をつくろうと決心し、首都圏で病児保育をあつかうNPO法人フローレンスで修業ののち、大阪でNPO法人ノーベルを設立するまでの経緯を説明されました(ノーベルは現在、大阪市内でサービスを提供しています)。
働く母親が増えている現在であっても、国の子育てに対する予算は少なく、育児や家事の担い手はほとんどが女性という現実。それは、男性が悪いのではなく、男性が働いている企業の勤務状況にも問題があると指摘。また、第一子出産後に仕事をやめる女性は7割にも達しており、育児をしながら働き続けることの難しさを改めて強調。先進国では日本だけが、結婚・出産年齢で就労率がいったん下がる「M字曲線」を描くのですが、これは世界では当たり前のことではないそうです。企業が意識を変えないと子育て環境は、変わらないとも話されていました。
高さんは、ノーベルの経営を通じて病児保育問題を解決するというミッションを果たすだけでなく、地域において「人と人とが助け合うしくみをつくり、世の中を変える」ことを目標にしているそうです。そのためにも、1人1人がどんなに小さな声でもその声を上げること。それによって、きっと社会は変えられるはずです・・という力強いメッセージを残してくださいました。
●パネルディスカッション「みんなで見守る千里の子ども」
(パネリスト…五十音順)
草場 祥光 東丘ダディーズクラブ副会長
桑名 恵子 千里金蘭大学生活科学部児童学科准教授
高 亜希 NPO法人ノーベル代表理事
水木 千代美 佐竹台スマイルプロジェクト
(コーディネーター)
上村 有里 千里市民フォーラム副代表
講演してくださった高さんに3人のパネラーを加え、さまざまな問題提起がなされました。
●「佐竹台スマイルプロジェクト」の水木さんから、団地建替に際して実現した「おひさまルーム」を舞台とした取り組みを紹介。子ども達と大学生が、ユニークな創作活動を通じて、生き生きと交流する様子を写真も交えてお話しいただきました。とにかく「楽しい!」と思えるしかけ作りが大切。お互いギブアンドテイクの中で、関わる仲間を増やしていくことが秘訣と教えてくださいました。
●千里金蘭大学の桑名先生からは、「金蘭おやこクラブ」の取り組みを紹介していただきました。学生の授業の一環で行っているこのとりくみ。学生が子ども達からさまざまなことを学ぶだけでなく、母親トークの時間では、母親同士が子育ての悩みを話し合い、ホッとするひとときを持てていると報告。母親同士の地域のつながりの大切さも教えていただきました。
●「東丘ダディーズクラブ」の草場さんからは、「イクメン」お父さん達のユニークなとりくみを紹介。いったんは児童数が各学年一クラスずつまで減ってしまった東丘小学校で、お父さんたちが立ちあがったのです!なかなか育児参加しにくいと言われているお父さん達が、仕事のやりくりをつけつつ、率先して子ども達と交流したり、楽しい遊び場づくりをしている様子は、他のパネラーのみなさんも驚かれていました。
●コーディネーターの上村からは、千里の豊中市域を中心に、自身がかかわっている「赤ちゃんからのESD」の活動について報告をいたしました。
その後、千里ニュータウンに特徴的な子育ての悩みの一つに、マンション住まいにおける子育ての孤立化の問題。住みよいまちと聞いて移り住んできたけれど、子育てに関する情報がなかなか得られないという現実や、近くに親がいないため子育ての伝承が途切れてしまっているといった問題などもあげられました。
会場からは、働くお母さんから保育所に対する要望や病児保育に対する質問などが出され、子育て環境改善に対する意識の高さが伺えました。
最後にパネラー1人1人からの感想とメッセージ。桑名先生からは、お年寄りも周囲の子育て世代に、思いやりの気持ちでひと声をかけるところから始めてほしいと投げかけてくださいました。昔と違って今のお母さんは、自分の親やご近所から子育ての知恵を受け取りにくい状況があります。子どもが外で泣いたりしたときに、どうしたらいいのかわからない…そんなときも周囲のひと声が気持ちの余裕を取り戻させるのだから…と、経験に裏打ちされた温かいお言葉でした。
あっという間の55分間。それぞれの思いや課題を挙げるところまでで、解決に導く議論まで深められなかったのは私の力不足ではありますが、今まで高齢者の問題を多く扱ってきた千里市民フォーラムとしては、新たな一歩を踏み出せたのではないでしょうか。
このフォーラムでの意見を今後の活動の中でより深め、地域でできることをみつけていきたいと感じています。
(コーディネーター・上村有里+奥居追記)
講演内容とパネルディスカッションの概要をお伝えします。
●基調講演「子どもが病気になった時、働く親はどうする?」
高 亜希(こう・あき)さん(NPO法人ノーベル代表理事)
高さんは大学卒業後、一般企業でつとめながら、働きつつ子育てしている先輩の大変さを痛感。
子どもが熱を出すのは当たり前、子どもは熱を出しながら大きくなるものなのに、病気になった子どもを預かってくれる保育所がないという現実を目撃。子どもの熱で申し訳なさそうに早退する同僚や先輩を見て、「子どもを生んでも当たり前にはたらき続けられる社会」をつくろうと決心し、首都圏で病児保育をあつかうNPO法人フローレンスで修業ののち、大阪でNPO法人ノーベルを設立するまでの経緯を説明されました(ノーベルは現在、大阪市内でサービスを提供しています)。
働く母親が増えている現在であっても、国の子育てに対する予算は少なく、育児や家事の担い手はほとんどが女性という現実。それは、男性が悪いのではなく、男性が働いている企業の勤務状況にも問題があると指摘。また、第一子出産後に仕事をやめる女性は7割にも達しており、育児をしながら働き続けることの難しさを改めて強調。先進国では日本だけが、結婚・出産年齢で就労率がいったん下がる「M字曲線」を描くのですが、これは世界では当たり前のことではないそうです。企業が意識を変えないと子育て環境は、変わらないとも話されていました。
高さんは、ノーベルの経営を通じて病児保育問題を解決するというミッションを果たすだけでなく、地域において「人と人とが助け合うしくみをつくり、世の中を変える」ことを目標にしているそうです。そのためにも、1人1人がどんなに小さな声でもその声を上げること。それによって、きっと社会は変えられるはずです・・という力強いメッセージを残してくださいました。
●パネルディスカッション「みんなで見守る千里の子ども」
(パネリスト…五十音順)
草場 祥光 東丘ダディーズクラブ副会長
桑名 恵子 千里金蘭大学生活科学部児童学科准教授
高 亜希 NPO法人ノーベル代表理事
水木 千代美 佐竹台スマイルプロジェクト
(コーディネーター)
上村 有里 千里市民フォーラム副代表
講演してくださった高さんに3人のパネラーを加え、さまざまな問題提起がなされました。
●「佐竹台スマイルプロジェクト」の水木さんから、団地建替に際して実現した「おひさまルーム」を舞台とした取り組みを紹介。子ども達と大学生が、ユニークな創作活動を通じて、生き生きと交流する様子を写真も交えてお話しいただきました。とにかく「楽しい!」と思えるしかけ作りが大切。お互いギブアンドテイクの中で、関わる仲間を増やしていくことが秘訣と教えてくださいました。
●千里金蘭大学の桑名先生からは、「金蘭おやこクラブ」の取り組みを紹介していただきました。学生の授業の一環で行っているこのとりくみ。学生が子ども達からさまざまなことを学ぶだけでなく、母親トークの時間では、母親同士が子育ての悩みを話し合い、ホッとするひとときを持てていると報告。母親同士の地域のつながりの大切さも教えていただきました。
●「東丘ダディーズクラブ」の草場さんからは、「イクメン」お父さん達のユニークなとりくみを紹介。いったんは児童数が各学年一クラスずつまで減ってしまった東丘小学校で、お父さんたちが立ちあがったのです!なかなか育児参加しにくいと言われているお父さん達が、仕事のやりくりをつけつつ、率先して子ども達と交流したり、楽しい遊び場づくりをしている様子は、他のパネラーのみなさんも驚かれていました。
●コーディネーターの上村からは、千里の豊中市域を中心に、自身がかかわっている「赤ちゃんからのESD」の活動について報告をいたしました。
その後、千里ニュータウンに特徴的な子育ての悩みの一つに、マンション住まいにおける子育ての孤立化の問題。住みよいまちと聞いて移り住んできたけれど、子育てに関する情報がなかなか得られないという現実や、近くに親がいないため子育ての伝承が途切れてしまっているといった問題などもあげられました。
会場からは、働くお母さんから保育所に対する要望や病児保育に対する質問などが出され、子育て環境改善に対する意識の高さが伺えました。
最後にパネラー1人1人からの感想とメッセージ。桑名先生からは、お年寄りも周囲の子育て世代に、思いやりの気持ちでひと声をかけるところから始めてほしいと投げかけてくださいました。昔と違って今のお母さんは、自分の親やご近所から子育ての知恵を受け取りにくい状況があります。子どもが外で泣いたりしたときに、どうしたらいいのかわからない…そんなときも周囲のひと声が気持ちの余裕を取り戻させるのだから…と、経験に裏打ちされた温かいお言葉でした。
あっという間の55分間。それぞれの思いや課題を挙げるところまでで、解決に導く議論まで深められなかったのは私の力不足ではありますが、今まで高齢者の問題を多く扱ってきた千里市民フォーラムとしては、新たな一歩を踏み出せたのではないでしょうか。
このフォーラムでの意見を今後の活動の中でより深め、地域でできることをみつけていきたいと感じています。
(コーディネーター・上村有里+奥居追記)
Posted by 千里市民フォーラム at 23:54
│まちづくり市民フォーラム